山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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蜀の中の九日

2014.10.03

九月九日望郷台

他席他郷送客杯

人情已厭南中苦

鴻雁那従北地来

 

六四九年生まれの王勃(おうぼつ)の「蜀(しょく)の中の九日」。蜀は三国時代の三国の一つ。今の四川省。九日は九月九日。この日は重陽の節句と言い、家族揃って高台に登る風習があった。

 

■読みと解釈

九月九日望郷台

九月九日 望郷台

[九月九日 古里を望む台に登り]

 

他席他郷送客杯

他席他郷 客を送る杯

[見知らぬ村の宴席で旅立つ人を送る杯をやり取りする]

 

人情已厭南中苦

人情已(すで)に厭(いと)う南中の苦を

[私の情はとっくに南方の苦しみにあきあきしておるのに]

 

鴻雁那従北地来

鴻雁(こうがん)は那(なん)ぞ北地より来たる

[雁たちはどうして北方の地からこの南方へやって来るのか]

 

 

■注目点

九月九日の作者王勃の心境に注目。

王勃はいま家族と離れ他郷にいる。他郷の場所は南方の蜀の地。

傍に家族のいない王勃は、古里を望む高台に独り登り、他人様の宴席に侍り、旅立つ人と杯を交わしている。この旅人、どこへ行くのでしょうか。王勃の古里かも。

自分はこの南方の蜀はいやになった。どこかへ行きたい。行く所。それは古里のはず。

なのに雁たちは私にはいやなこの南方の蜀に、わざわざなぜ北方からやって来るのか。来なくていいのに。

王勃は早く早く古里へ帰りたいのです。

 

《PN・帰鳥》