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蜀に行幸し西方の剣閣山に至る

2016.08.05

剣閣横雲峻

鑾輿出狩囘

翠屏千仞合

丹嶂五丁開

灌木縈旗転

仙雲払馬来

乗時方在徳

嗟爾勒銘才

 

七一二年即位した玄宗皇帝の「蜀(しょく)に行幸し西方の剣閣山(けんかくざん)に至る」。蜀は今の四川省。剣閣山は難所。

 

■読みと解釈

剣閣横雲峻

剣閣は雲に横たわりて峻(けわ)しく

[剣閣山は雲の中に横たわって高く険しく]

 

鑾輿出狩囘

鑾輿(らんよ)は出狩(しゅっしゅ)して囘(まわ)る

[我が車は巡幸しあちこち動き回る]

 

翠屏千仞合

翠屏(すいへい)は千仞(せんじん)に合し

[翠色の崖は千仞もの高さで連なり]

 

丹嶂五丁開

丹嶂(たんしょう)は五丁(ごちょう)開く

[赤色の峰は五人の若者が切り開いた]

 

灌木縈旗転

灌木(かんぼく)は旗を縈(めぐ)りて転じ

[御旗は群生の樹木を囲んで進み]

 

仙雲払馬来

仙雲(せんうん)は馬を払いて来たる

[仙山の雲は御馬を避けてやって来る]

 

乗時方在徳

時に乗ずるは方(まさ)に徳に在り

[時運に乗じ天下を治めるのは徳こそである]

 

嗟爾勒銘才

勒銘(ろくめい)の才を嗟爾(さじ)す

[功績を碑に刻む才能なんて嘆かわしい]

 

 

■注目点

天下を治める皇帝の詩。言いたいことは何かに注目。

行幸した蜀は、国内でも難所中の難所。剣閣山はさらに難所中の難所。そこでの作。

雲に横たわる険しい剣閣山。これは天下を治める険しさのことでは。険しい天下を治めるために、皇帝は車に乗り、険しい剣閣山を巡幸する。

屏風のように千仞の高さにそそり立つ翠色の崖。巌壁のように高く聳え立つ赤色の峰。こんな天下を治めるのが皇帝の任。

車には御旗と御馬。御旗は群生する樹木の間を抜け、御馬は仙山の雲の間を縫い、動いている。これは天下を治める皇帝を支える連中のことでは。

天下を治める皇帝。最大の任は徳。功績を碑にして、後世に残すことではない。皇帝たる玄宗の人柄が見える。

 

《PN・帰鳥》