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蘭亭の詩

2015.07.10

望巌懐逸許

臨流想奇荘

誰云真風絶

千載挹余芳

 

四百年頃の孫嗣(そんし)の「蘭亭(らんてい)の詩」。蘭亭は長江下流の地。

 

■読みと解釈

望巌懐逸許

巌(いわお)を望みて逸(いつ)なる許を懐(おも)い

[巌を眺めて逸才の許由(きょゆう)を思い慕い]

 

臨流想奇荘

流れに臨みて奇なる荘(そう)を想う

[川を前にして奇士の荘周を思い浮かべる]

 

誰云真風絶

誰か云(い)う真風は絶えたりと

[真風は絶えたと誰が言うのか]

 

千載挹余芳

千載に余芳(よほう)を挹(と)る

[千年後の今なお存在している]

 

 

■注目点

言いたいことに注目。

逸なる許とは逸材の許由(きょゆう)、奇なる荘とは奇士の荘周(そうしゅう)のこと。許由、荘周二人とも世俗を避け、巌や川で暮らした人材。孫嗣はこの二人を懐い想う。

世俗を避けて暮らす二人の生き方。それは真風を求める生き方。真風とは無為、無欲、無知、自然。言い換えると、名誉、地位、財産を求めぬ生き方。

二人が求めた真風。今や真風はこの世から消えた、と誰が言うのか。真風は消えてはいない。

二人が死んで千年。千年経った今なお、この世に存在し、生き続けている。

孫嗣は蘭亭の地で、真風の存在を強調する。蘭亭と言えば、王羲之が禊し身の汚れを洗い落とした地。

 

《PN・帰鳥》