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蘇綰書記に贈る

2018.11.30

知君書記本翩翩

為許従戎赴朔辺

紅粉楼中応計日

燕支山下莫経年

 

七〇八年に死去した杜審言(としんげん)の「蘇綰(そわん)書記に贈る」。蘇綰は経歴不詳。

 

■読みと解釈

知君書記本翩翩

君が書記は本(もと)より翩翩(へんぺん)たるを知れり

[君の文書はもとより才知の物だと承知しており]

 

為許従戎赴朔辺

為(ため)に戎(つわもの)に従い朔辺(さくへん)に赴(おもむ)くを許す

[それ故(書記として)軍に従い北方の国境に行くのを承諾した]

 

紅粉楼中応計日

紅粉(こうふん)は楼中(ろうちゅう)にて応(まさ)に日を計(かぞ)うべし

[紅や白粉で化粧した妻は物見台の中で(帰り来る)日を当然数えている]

 

燕支山下莫経年

燕支山(えんしざん)の下(もと)にては年を経(ふ)ること莫(な)かれ

[(君は美女多き)燕支山の麓で何時までも年を過ごしてはならぬ]

 

 

■注目点

作者の思いに注目。

書記とは地方の行政や軍政を司る節度使に仕える役人。命を賭すこと覚悟の上。その書記となる蘇綰に贈る詩。

書記の任を帯び、北方の国境地帯に行く蘇綰。北方には外敵匈奴(きょうど)の支配地。

里では妻が指折り数え、蘇綰の帰りを待っている。蘇綰よ、妻の思いに耳を傾けよ。早く速く帰って来い。浮気はしてはならぬ。

才知に合った書記の任。赴任を歓迎する一方、妻の事を思えば寂しくなる作者。作者の思いは複雑。

 

《PN・帰鳥》