山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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董大に別る

2013.11.29

十里黄雲白日曛

北風吹雁雪紛紛

莫愁前路無知己

天下誰人不識君

 

七六五年に亡くなった高適(こうせき)の「董大(とうだい)に別る」。董大は不詳。

 

■読みと解釈

十里黄雲白日曛

十里は黄雲にして白日は曛(くら)く

[十里四方黄色い雲が垂れこめて太陽は暗く]

 

北風吹雁雪紛紛

北風は雁を吹き雪は紛紛(ふんぷん)たり

[北風は雁を吹き飛ばして雪は入り乱れ降っている]

 

莫愁前路無知己

前路に知己(ちき)無きを愁(うれ)うる莫(な)かれ

[これから先の路に知り合いがいないことを愁うるな]

 

天下誰人不識君

天下誰(た)が人ぞ君を識(し)らざらん

[この世界だれもみな君のことを識っているのだ]

 

 

■注目点

董大と別れる状況や高適の心情に注目。

季節は冬。時刻は夕暮れ。天候は吹雪。場所は北方。

状況は暗く、寒く、厳しい。空には十里四方、黄昏どきの雲が漂い、太陽も光を失い、どんより曇っている。冷たい風は雁を吹き飛ばし、雪は入り乱れ、降りしきっている。

この状況は高適の暗く、寂しく、悲しい心情でもある。黄雲、白日は曛し、北風、雁を吹く、雪紛紛たり。これら一語一語は、状況説明と心情描写を重ね合わせた、景情一致の表現です。

董大は高適と別れ、どこへ行くというのだろう。別れ行く董大に高適は終わりの二句で温かく語りかけ、慰め励ますのです。

 

《PN・帰鳥》