山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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苦悩の歌

2016.03.24

寡婦哭城頽
此情非虚仮
相楽不相得
抱恨黄泉下

 

三〇〇年頃の作者不詳の「苦悩の歌」。

 

■読みと解釈
寡婦哭城頽
寡婦(かふ)の哭(こく)すれば城は頽(くず)る
[やもめが夫の死を悲しみ泣くと城は崩れる]

 

此情非虚仮
此の情は虚仮(きょか)に非(あら)ず
[この感情はうそ偽りではありません]

 

相楽不相得
相(あ)い楽しむも相い得(え)ざれば
[互いに楽しみ合い一緒におれぬのなら]

 

抱恨黄泉下
恨みを黄泉(こうせん)の下に抱かん
[恨みを抱いてあの世に行くとしよう]

 

■注目点
苦悩の中身に注目。
主人公は寡婦。寡婦は夫を亡くした妻。哭すとは、妻が夫の死を悲しみ、大声を上げ泣く意。その結果、城は崩壊する。崩壊するほど、大声を上げ泣く。夫の死を哭する妻のこの情は、うそ偽りではない。誠の情。亡き夫を思う妻の情の深さを言うのです。

黄泉は亡き夫がいる所。あの世です。今や夫と楽しむことも、一緒にいることもできぬ。ならば恨みを抱えて、夫のいるあの世へ行きたい。
愛する夫を亡くした妻。それが苦悩の中身。生きては共に老い、死しては同じ墓に入る。これが夫婦。これができぬのは夫婦ではない。
なお、この歌は「夫が戦死したので、妻はその遺体を城の下に置き、悲しみ泣くと、十日後に城が崩れた」という実話を踏まえている。夫の死は戦死です。

 

《PN・帰鳥》