山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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花卿に贈る

2018.08.10

錦城絲管日紛紛

半入江風半入雲

此曲祇応天上有

人間能得幾回聞

 

七一二年生まれの杜甫(とほ)の「花卿(かけい)に贈る」。花卿は花殿。姓は花、名は敬定。猛将。

 

■読みと解釈

錦城絲管日紛紛

錦城(きんじょう)の絲管(しかん)は日に紛紛(ふんぷん)たり

[成都錦官城の琴や笛の音は日々乱れ飛び]

 

半入江風半入雲

半(なか)ば江風(こうふう)に入り半ば雲に入る

[半ば川風に入りこみ半ば雲に入りこむ]

 

此曲祇応天上有

此(こ)の曲は祇(た)だ応(まさ)に天上に有るべし

[この音曲は天上にある音楽のはずだ]

 

人間能得幾回聞

人間(じんかん)に能(よ)く幾回(いくかい)か聞くを得ん

[俗世間では何度も耳にすることはできぬ]

 

 

■注目点

言いたい事に注目。

この詩は音楽を讃えている。大都市成都の街に響き亙る琴の音と笛の音。その音は人間界の音楽ではなく、天上界の音楽であるとし、清々しく妙なる音楽を讃える。

こんな詩を猛将の花卿に贈る意図はどこにある。花卿を励ますのか。讃えるのか。否。この詩は花卿の為に作ったのではなく、できあがったこれを贈ったに過ぎないのか。贈る相手は誰でもよかったのだが、たまたま花卿であったのか。

或いは猛将花卿を天上界の音楽に準え、こんな大人物は人間界で見ることはできない。

この詩を花卿に贈った作者杜甫の意図。よくは分からぬ。

 

《PN・帰鳥》