山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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船を瓜洲に泊す

2018.03.02

京口瓜洲一水間

鍾山祇隔数重山

春風自緑江南岸

明月何時照我還

 

一〇二一年生まれの王安石(おうあんせき)の「船を瓜洲(かしゅう)に泊す」。瓜洲は長江下流の渡し場。

 

■読みと解釈

京口瓜洲一水間

京口(けいこう)と瓜洲は一水の間なるも

[京口と瓜洲とは長江一本を挟んでいるが]

 

鍾山祇隔数重山

鍾山(しょうざん)は祇(た)だ数重(すうちょう)の山を隔てり

[鍾山は多くの山々に隔てられている]

 

春風自緑江南岸

春風は自(おのずか)ら江南(こうなん)の岸を緑にするも

[春風は自力で長江南の岸辺の草木を緑にしているが]

 

明月何時照我還

明月は何(いず)れの時か我が還(かえ)るを照らさん

[明月は私が戻って来るのをいつ照らしてくれるだろう]

 

 

■注目点

瓜洲に船を泊める思いに注目。

船を瓜洲に泊めた王安石は辺りを眺める。

最初に眺めたのは長江を挟み両岸にある京口と瓜洲。

次に眺めたのは多くの山に隔てられている瓜洲の西にある鍾山。

次に眺めたのは春風。これらの地や山がある長江南一帯には春風が吹き、自力で草木を緑にしている。

次に眺めたのは明月。岸辺を照らす明月は、何時戻るか判らぬ私を照らし迎えてくれるか。

王安石は船を泊めて様々な物を眺めながら、何時戻るか判らぬ自分を何が迎えてくれるのか。何も迎えてくれないのでは。王安石は自問自答する。

 

《PN・帰鳥》