山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

聖果寺

2016.07.29

路自中峯上

盤囘出薜蘿

到江呉地尽

隔岸越山多

古木叢青靄

遥天浸白波

下方城郭近

鐘磬雑笙歌

 

八五〇年頃の僧侶釈処黙(しゃくしょもく)の「聖果寺(しょうかじ)」。聖果寺は長江下流の鳳凰山(ほうおうざん)にあった寺。

 

■読みと解釈

路自中峯上

路は中峯より上り

[聖果寺への道は中央の峯から上り]

 

盤囘出薜蘿

盤囘(ばんかい)して薜蘿(へいら)出ず

[曲がりくねって葛や蔦が茂っている]

 

到江呉地尽

江に到れば呉地尽き

[川に着くと呉(ご)の地は終わり]

 

隔岸越山多

岸を隔てば越山多し

[岸を隔てると越(えつ)の山ばかり]

 

古木叢青靄

古木には青き靄(もや)叢(むらが)り

[古い木には青い靄が立ちこめ]

 

遥天浸白波

遥天には白き波浸(ひた)せり

[遥かなる空には白い波が染みこんでいる]

 

下方城郭近

下方は城郭に近く

[山裾は街に近く]

 

鐘磬雑笙歌

鐘磬(しょうけい)は笙歌(しょうか)に雑(まじ)わる

[寺の鐘音は街の音楽とごっちゃになる]

 

 

■注目点

僧侶が寺を詠む。言いたいことに注目。

聖果寺の位置。長江下流。鳳凰山山頂。昔の呉と越の国境。川は銭塘江(せんとうこう)。街は杭州(こうしゅう)。

僧侶は聳える峯々の、中央の峯から鳳凰山に上る。道は一本道ではない。分かれ道あり、曲がり道あり。歩行を妨げる葛や蔦。杖をつき、汗をふき、上り続ける。

聖果寺のある山頂に到着。銭塘江が見える。そこは呉の地の果て。岸の向こうは越の山々。呉越と言えば敵同士。その境に寺がある。何が言いたい?

山頂の景。辺りは古木。古木には青い靄。呉越時代からの景? 空には白い波。呉越時代からの景?

山裾の景。杭州の街。賑やかな笛や歌の音。そこに聖果寺の鐘の音が届く。

難儀な道を歩き続け、聖果寺に到着した僧侶。僧侶の言いたいことは何。最後の句か。山頂と山裾、寺と街、雅と俗の合体。これでいいのか?

 

《PN・帰鳥》