山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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絶句

2013.05.10

遅日江山麗
春風花草香
泥融飛燕子
沙暖睡鴛鴦

 

七七〇年生まれの杜甫(とほ)の「絶句」(ぜっく)。絶句の意味は無題。

 

■読みと解釈
遅日江山麗
遅日(ちじつ)江山(こうざん)は麗(うるわ)しく
[日暮れの遅い春の日ざしで川や山は麗しく]

 

春風花草香
春風花草は香(かんば)し
[春の風に乗って花や草はいい香りがする]

 

泥融飛燕子
泥(どろ)は融(と)けて燕子(えんし)は飛び
[泥がとけて燕たちは飛び交い]

 

沙暖睡鴛鴦
沙(すな)暖かにして鴛鴦(えんおう)睡(ねむ)る
[沙は暖かくなっておしどりが眠っている]

 

 

■注目点
春の風景。それを詠む題材に注目。
題材は日、江、山、風、花、草、泥、燕子、沙、鴛鴦。日と風は自然現象。江と山は地形。泥と沙はその一部。花と草は植物。燕子と鴛鴦は動物。
1句目は日と江と山を使い、視覚的に麗しいと表現する。
2句目は風と花と草を使い、嗅覚的に香しいと表現する。
3句目は泥と燕子で動的に表現する。春になってやって来た燕子が、とけた泥をくわえ巣作りをしているのでしょう。
4句目は沙と鴛鴦で静的に表現する。冬が終わり、暖かくなった沙の上でおしどりが寄りそい、仲よく眠っているのでしょう。
題材を巧みに使った平和な風景です。

 

《PN・帰鳥》