山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

終南山

2016.10.28

太乙近天都

連山到海隅

白雲迴望合

青靄入看無

分野中峯変

陰晴衆壑殊

欲投人処宿

隔水問樵夫

 

七五九年生まれの王維(おうい)の「終南山(しゅうなんざん)」。長安の東南にある山。

 

■読みと解釈

太乙近天都

太乙(たいいつ)は天都に近く

[太乙山(終南山)は天子の都近くにあり]

 

連山到海隅

連山は海隅(かいぐう)に到る

[連山は海の果てまで続いている]

 

白雲迴望合

白雲は迴(めぐ)り望めば合し

[白い雲はふり返り眺めると重なり合い]

 

青靄入看無

青靄(せいあい)は入りて看れば無し

[青い靄は中へ入って看ると見えない]

 

分野中峯変

分野は中峯(ちゅうほう)に変じ

[天の分野は中央の峯を境にして変わり]

 

陰晴衆壑殊

陰晴は衆壑(しゅうがく)に殊なる

[曇りや晴れは多くの谷々で異なる]

 

欲投人処宿

人処(じんしょ)に投じて宿せんと欲し

[人里に行って宿を取ろうと思い]

 

隔水問樵夫

水を隔てて樵夫(しょうふ)に問う

[川向こうのきこりに問うてみる]

 

 

■注目点

終南山の描写に注目。太乙山は終南山の別名。首都長安近くゆえ、山は天子の都。山を天子の都と描写する。終南山は一山ではなく連山。連峯。終南連峯は海の果てまで。海は東方の海。天と海の対応。深遠な描写。

視界を閉ざす白雲と青靄。白と青、雲と靄の対応。高峻な描写。

分野。天の星座28宿のこと。これを地の宿とし、天の違いで地も違うことを言う。天の宿は地の中央の峯を境とし、天候の違いも谷一つ一つで違うことを言う。広大な描写。

終南山。この山は人里遠く離れ、人家は無い。今晩の宿は無い。川向こうにきこりの姿。遠く呼びかけるが返答は? きこりは世俗と無縁な仕事。宿はあったのか?

終南山の描写。深遠、高峻、広大。ここで宿探し。きこりの登場。黙々と木を伐るきこり。宿探しの声。聞こえただろうか。余韻、余情に浸る。

 

《PN・帰鳥》