山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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第370回

2017.11.10

毛利家171110伝友成_国宝写真は、毛利家伝来の太刀です。銘はすり減っているため、完全には判読できませんが、「備前國□□」と読めますので、その作風などから、摩耗部分は「友成」とされ、現在では「伝友成」として知られている、古来著名な太刀です。友成は、その銘から数代にわたる刀匠の名だとされますが、いずれも平安時代末期に活躍した古備前の名手とされています。

 

この刀は、長い戦乱の世に、実戦で用いられて傷つくことがあったのでしょうか、残念なことに、やや磨り上げられています。しかし、茎(なかご)近くの腰の部分が強く湾曲し、そこから切っ先に向けてすらりと伸びた刀身は、平安時代末の作らしく、優美ながらも堂々として、力強さを感じさせます。

 

この刀は、毛利元就の指料であったという説もありますが、正確な由来は定かではありません。ただ、その見事さや、これまで毛利家で大切にされてきた由緒などを鑑みるなら、あるいは所伝も正しいのかなという気もします。

 

昨今は、刀剣を擬人化するゲームや、ゲーム関連のコミカライズやアニメ化などの影響か、刀剣に関する興味関心も高まっているようです。話の内容そのものは、荒唐無稽で、まあ作品鑑賞にとって、取り立てて役に立つものではありませんが、話の面白さや、話に親しんだ人たちが、実物の刀剣や、その刀剣を墨で紙に描きとった「押形」などを見学するため、方々の博物館や、刀剣の展示会場に足を運んでいると聞きます。

 

刀はなんといっても、殺傷を目的とした武器です。同時に、武士たちがその「魂」とも称したように、単なる道具ではなく、自らの身を守り、地位を象徴する大切なものでした。それゆえ、古来より名刀には様々な伝説や伝承がつきものです。今回の刀剣ブームもまた、それぞれが名刀であることを証明する、現代版の伝説・伝承といったところなのでしょうか。