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第180回

2014.02.21

nt毛利家140221雛道具 写真は、毛利家伝来の雛道具の一つです。雛道具とは、男女一対の内裏雛、いわゆるお内裏様とお雛さまのための、家具や調度、化粧道具、文具、遊具などです。内裏雛が男雛・女雛の婚礼をイメージしたままごと遊びの延長ですから、雛道具もまた、内裏雛の婚礼道具としてあつらえられています。毛利家の雛道具は、大名家の婚礼道具を模したものとして、質量ともに全国的にみても希有の資料だといえます。

 

この雛道具は、どれも一つ一つが数センチしかない、とても小さなものです。保存状態もとても良好で、細かな道具一つ一つ数えれば、数え切れないのですが、その数は四百をくだらず、途方もない数が今なお揃っています。

 

大名家の婚礼道具は、嫁ぎ行く姫の、家の格式を示すものとして、丁寧に作られていることは勿論ですが、定められた形式にのっとって文様を描き、細かな道具の一つ一つにまでその家の紋を描く、美しくきらびやかなものです。おもちゃとはいえ、その婚礼道具を模したものですから、雛道具にもその細かな道具の一つ一つに、竹笹の文様と、菊菱紋が描かれています。

 

この雛道具は、すべてをまとめて収めていた箱が失われ、戦前の海外用の旅行トランクに収められているため、制作年代や制作者がわかりません。菊菱紋も、特定の家の紋ではなく、どうやら文様にすぎないため、これまでは漠然と、明治時代のいつ頃かに作られたものだろう、したがって、所用者も近代のどなたかだろうと推測されていました。ところが、今回の展示替作業中、当館の小田陽子学芸員が、毛利家伝来の「有職雛(ゆうそくびな)」の御殿に付けられた金具の文様が、この雛道具と同一であることを発見しました。まだ慎重に調べなくてはなりませんが、この雛道具は、「有職雛」の雛道具である可能性が高くなりました。とすると、「有職雛」は、これまで私たちが想像していた以上に豪華な逸品だったのかもしれません。