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第114回

2012.10.26

121026_mouri旧毛利家本邸が重要文化財に指定されたことから、この邸宅を、関係資料から紹介する初めての試みとしての企画展「重要文化財 旧毛利家本邸」も、残りあと数日となりました。

 

設計施工図や平面図・断面図など、私のように、建築に関する素人にとっては、何が何やらさっぱりという資料ばかりですが、当時の写真や、現在も残されている建物などと、つきあわせつつ色々と思いをめぐらせると、この建物がどういう意図を持って建てられたのか、どういう工夫が施されたのか、設計を担当した原竹三郎の熱意まで伝わってくるようです。

 

今回の写真も、毛利邸の完成記念アルバムからです。この邸宅を見学した人なら一目でわかると思いますが、一階の大広間(書院・客間)です。障子や襖・板戸を開け放っているせいか、ただでさえ広い大広間がより広々と、開放的に感じられます。天井から釣り下げられたシャンデリアといい、金粉でたなびく雲海を描いた襖絵といい、約百年を経た今と、全く変わっていないことには驚くばかりです。この邸宅がいかに大切に使われてきたかがよく分かります。

 

またこれは、かなり古い写真ですが、そのわりには、部屋の隅々までよく写されています。当時の照明技術は現在とは比べものにならないほど貧弱ですから、和室を撮影すると、薄暗く写ることも多いのですが、この大広間は、かなり明るく写され、そのためか、いっそう広く感じる気がします。実はこの「明るさ」こそ、毛利邸の隠れた特徴の一つなのです。設計者の原は、採光や通風に、かなり気を遣っていたようです。明るく、からっとした家屋であること、これこそが健康的な住宅としての第一条件と考えていたように思われます。

 

近年の近代史研究では、毛利邸が建てられた大正期は、全国的に、「健康」に関心が向けられつつあった時期だとされています。毛利邸は、その「健康」的な生活を最も重視した邸宅であり、まさに時代の申し子として、大正の時代背景を今に伝える貴重な遺産だといえるのです。