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第112回

2012.10.12

121012_mouri毛利博物館への来館者が先ず目にするのが、この本門です。かつての大名屋敷や城郭を思わせるこの重厚な門は、この本邸に来た人に、ここが公爵毛利家の本邸であることを、あらためて実感させたことでしょう。

 

この門が、鉄筋コンクリートという、当時最新鋭の建材を用いて作られていることは、既に説明したとおりです。また、この門があまりに立派なため、ついついその大きさや、使われている材木のすばらしさに目を奪われてしまいがちです。が、ここでは、その、更に上に注目してみたいと思います。

 

この本門は、この旧毛利家本邸のうちでも、かなりに高層の、大きな建物なので、屋根の上には避雷針が取り付けられています。城郭や大寺院・宮都など、江戸時代以前の大規模な建物が落雷により焼失したという事例は、よく聞くところです。旧毛利家本邸も、それらと同じ規模の大きな建物ですから、落雷による火災は、この建造物が被る可能性のある自然災害の一つとして、真剣に対策が検討されたようです。その結果、旧毛利家本邸の要所要所には、すべて最新の避雷針が取り付けられました。

 

現在展示中の「避雷針設置図」をみると、この建物全体に避雷針が設置され、落雷した際の雷の誘導線が張り巡らされている様子が、一目瞭然です。この本邸は、現代でもしばしば問題とされている自然災害への対策が、十全に施された、現代にも通用する近代的な建造物でした。

 

さらに注目すべきは、この避雷針が、全体が和風建築としてすっきりとまとめられた旧毛利家本邸にふさわしく、デザイン的にも洗練されたものになっている点です。徹底した景観への配慮、これはまさに、現代にもつうじる最新の思想だといえます。この本門の避雷針は、数少ない創建当初のものとして、この本邸建設の最新思想を、現在に伝える貴重なものなのです。