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第018回

2010.12.03

毛利家101203十二月、師走です。師走を迎えると毛利博物館では、やや気分としては早い気もしますが、展示を正月向けに切り替えます。

 

この写真は、毛利家の正月飾りとされ、毛利元就が用いたとされる「御佳例吉甲冑(ごかれいきちかっちゅう)」と「日の丸軍扇」、初代の萩藩主毛利秀就が朝廷から拝領した「御重代太刀(ごじゅうだいたち)」、重臣の福原貞俊が、これになみなみとつがれた酒を飲みほしたという伝承をもつ「御佳例盃」を組み合わせたものです。

 

いずれも、大変めでたくすばらしい例(ためし)という意味の「御佳例」や、家代々受け継ぐ意の「御重代」の名が付された、毛利家にとって家宝というべき物ばかりで、これを飾ると、その場は、いやが上にもめでたい雰囲気になったことでしょう。

 

しかし、実のところ、この飾りが、いつどこに飾られていたのか、はっきりとしていません。少なくとも「御佳例盃」については、藩主とごく身近な重臣たちが集まり、年賀の挨拶を行う場などで、重臣たちが、それに注がれた御酒を回し飲みする場面で使用されているようです。それ以外については、全く記載がなく、不明といわざるを得ません。

 

正月の行事は、年の初めに、これまで家や藩がつつがなく継続してきたことや、それに対する祖先の功績を感謝し、以後の継続と繁栄を願うものとして、武家の間では特に重視されていました。また、約二週の間次々と行われる行事は、藩主と様々に区分された家臣たちが参加することで、君臣の契りや、家臣相互の序列を再確認し、藩体制を引き締める意味もありました。

 

したがって、どういう日程で行事をこなすか、そのスケジュールについては事細かな記録が残されています。しかしその中には、案外何が語られるか、何が飾られるかは記述がなく、謎も多いのです。この正月飾りもまた、こうした謎の一つなのです。