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第013回

2010.10.29

毛利家101029当毛利博物館では、十月二十九日から恒例の特別展「国宝」が始まります。当館は、現在四件七点の国宝を所蔵しています。国宝とは、まさしく「国が世界に誇る宝」です。国宝に指定されるくらいのものなら、すべてが解っていそうなものですが、これが意外と謎が多いのです。

 

毛利博物館所蔵の国宝といえば、何といっても雪舟が描いた「四季山水図」でしょう。一六メートルにおよぶ長大な画巻であることから、「山水長巻」の異名でもよく知られています。「画聖」とされ、教科書でもおなじみの雪舟が描いた逸品ですから、既にご存じのことと思います。

 

ところが実は、この「四季山水図」、謎だらけの作品なのです。雪舟が記した奥書があるので、書かれた年代こそ、文明十八年(一四八六)とはっきりしています。また、近年の研究によると、画巻という形式や、書かれた年代などから、大内氏の当主政弘が、大内氏の記念碑的作品として雪舟に描かせ、氏神の氷上山興隆寺に奉納したものという説が有力です。

 

長州藩の御用絵師を務めた雲谷家の家伝によると、雲谷家の初代等顔が、毛利輝元からこの「四季山水図」を拝領したといいます。研究によると、実際に、ある時期までは雲谷家がこの作品を所持していたことは明らかだそうです。したがって、おそらく大内氏の滅亡後、毛利氏が、何らかの経緯でこの作品を手に入れたものと思われます。

 

しかし、その経路や経緯は全く解っていません。大内氏がこうした宝物をどう管理していたか、誰がそこから持ち出したのか、毛利氏が、どうしてこうした宝物の所在を知り得たのか、毛利氏では、元就や輝元がそれをどう扱い、管理していたのか、謎は尽きることがありません。

 

とても有名な「四季山水図」、実物を見ると、なるほど傑作です。しかし、現在に至る道程は平坦なものではなく、今ここで実物にあえるのは、奇蹟といってもよいほど謎に満ちた逸品なのです。「四季山水図」のすばらしさと謎、ぜひ一度その目で確かめてはいかがですか?