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竹里館

2011.10.07

独坐幽篁裏
弾琴復長嘯
深林人不知
明月来相照

 

六九九年生まれの王維(おうい)の「竹里館(ちくりかん)」。竹里館は建物の名。

 

■読みと解釈
独坐幽篁裏
独り幽篁(ゆうこう)の裏(うち)に坐(ざ)し
[ただ独り奥深い竹林の中に座り]

 

弾琴復長嘯
琴を弾(ひ)き復(ま)た長く嘯(うそぶ)く
[琴を弾いたり声を長く伸ばし歌ったりする]

 

深林人不知
深林は人知らざるも
[深い竹林のことは誰一人知らないが]

 

明月来相照
明月来たりて相(あ)い照らす
[明月はやって来て照らしてくれる]

 

 

■注目点
竹里館はどんな所か。その詠み方に注目。
幽篁は奥深い竹林。深林は深い竹林。ともに竹里館がある場所。竹里館は奥深い竹林の中にあったのです。
作者は今、その竹里館の中に、誰にも邪魔されずただ一人、静かに座っている。空には明月がある時刻。静寂そのものです。
座ったまま、琴を弾き、声を伸ばし歌う。静かな音に低い声。静寂ゆえに、響きわたります。
竹里館のこの趣。誰にもわからない。わからないから、誰も訪ねて来ない。
この趣がわかり、訪ねて来るのは明月だけ。明月こそわが友。
竹と琴と月。この三つは俗とは無縁な存在。三つを相手に生きる作者。作者の生き方を見る思いがします。

 

《PN・帰鳥》