山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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秦淮に泊まる

2015.02.20

煙籠寒水月籠沙

夜泊秦淮近酒家

商女不知亡国恨

隔江猶唱後庭花

 

八〇三年生まれの杜牧(とぼく)の「秦淮(しんわい)に泊まる」。秦淮は南京市を流れる河。

 

■読みと解釈

煙籠寒水月籠沙

煙(かすみ)は寒水を籠(こ)め月は沙を籠む

[霞は冷え冷えする水に立ちこめ月は砂地に立ちこめる]

 

夜泊秦淮近酒家

夜秦淮に泊まれば酒家に近し

[夜になり秦淮河に停泊したところ酒屋近くだった]

 

商女不知亡国恨

商女は亡国の恨みを知らずして

[遊女たちはかつてこの国が滅んだのも知らず]

 

隔江猶唱後庭花

江を隔て猶(な)お唱(うた)う後庭花(こうていか)を

[河向こうで今も亡国の後庭花の歌を皆で歌っている]

 

 

■注目点

秦淮河の歴史に注目。

作者の杜牧は船の中にいる。夜になったので、秦淮河に停泊中。岸の方から歌声が聞こえる。女の声。聞いていると酒屋の遊女。

この辺り、水上交通の中心地。商売人が頻繁に行き交う土地柄。商売人相手の酒屋多数の繁華街。商売人の相手をするのは遊女。歌を歌い、舞を舞い、商売人に媚びる遊女。

その遊女たちが後庭花を歌っている。後庭花は亡国の歌。亡国の歴史も知らず、声高々に歌っている。

停泊中の杜牧。どんな気持ちで遊女の歌う後庭花を聞いたであろうか。知らぬが仏?怒り心頭?

 

《PN・帰鳥》