山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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科に登りし後

2013.12.27

昔日齷齪不足誇

今朝放蕩思無涯

春風得意馬蹄疾

一日看尽長安花

 

七五一年生まれの孟郊(もうこう)の「科に登りし後」。官吏登用試験合格後。

 

■読みと解釈

昔日齷齪不足誇

昔日は齷齪(あくせく)して誇るに足らず

[昔はこせこせして自慢できるものではない]

 

今朝放蕩思無涯

今朝は放蕩して思い涯(はて)無し

[今は気ままになり思いは果てしない]

 

春風得意馬蹄疾

春の風は意を得て馬の蹄(ひづめ)は疾(はや)く

[春の風は満足して愉快であり馬の足は速く]

 

一日看尽長安花

一日にして長安の花を看尽(みつ)くす

[一日で長安の花を見尽くしてしまった]

 

 

■注目点

試験に合格した後の思いに注目。

官吏登用試験。合格すれば官吏になれる。前途洋洋。不合格はなれない。前途多難。

作者は合格したのです。前途洋洋です。

合格した当日。作者は昨日までのこせこせし、自慢できぬ生活をふり返る。心身が委縮し、束縛され、不自由な生活。

合格した今日は思いが果てしなく広がり、心身が伸長し、解放され、自由な生活。

天と地の違い。雲と泥の差。合格、不合格は運命を左右した。

心身自由、気分最高の作者は馬を飛ばし、広大な都長安に咲く春の花を、たった一日で見尽くすのです。

作者の孟郊は実は二回不合格になっており、合格したのは五十過ぎの晩年。それだけに感激は一入だったのでは。

 

《PN・帰鳥》