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秋日の田園の雑興

2012.10.12

朱門巧夕沸歓声
田舎黄昏静掩扃
男解牽牛女能織
不須徼福渡河星

 

作者は一一二六年生まれの范成大(はんせいだい)。詩の題は「秋日の田園の雑興」。秋の田舎の風景あれこれ。連作の一首。

 

■読みと解釈
朱門巧夕沸歓声
朱門(しゅもん)は巧夕(こうせき)歓声沸(わ)き
[街中では七夕の夕べ歓声が沸きあがり]

 

田舎黄昏静掩扃
田舎は黄昏(こうこん)静かに扃(と)を掩(と)ざす
[田舎ではたそがれどき静かに扉を閉ざしている]

 

男解牽牛女能織
男は解(よ)く牛を牽(ひ)き女は能(よ)く織る
[男はよく牛を牽いて耕し女はよく機(はた)を織っている]

 

不須徼福渡河星
福を徼(もと)むるを須(もち)いず河を渡る星に
[福を求める必要はない天の河を渡る星に]

 

 

■注目点
七夕の日の、街中と田舎との違いに注目。
巧夕は乞巧(きっこう)の夕。乞巧とは七夕の夕、裁縫が上手になるよう、女たちが織女星に祈ること。
街中。歓声をあげてにぎわう。
田舎。扉を閉ざしてひっそり。なぜか。田舎の男たちは毎日牛で田畑を耕し、田舎の女たちは毎日機織りに精を出しているから。
だから、七夕の日に特に、二つの星に福を願う必要はないのです。
七夕伝説の発生は田舎。なのに、にぎわうのは街中。田舎はひっそり。これが世の中というもの?

 

《PN・帰鳥》