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秋の歌

2017.10.20

秋風入窓裏

羅帳起飄颺

仰頭看明月

寄情千里光

 

作者不明の「秋の歌」。製作は唐以前。

 

■読みと解釈

秋風入窓裏

秋風は窓の裏(うち)に入り

[秋の風が窓の中へ入り込み]

 

羅帳起飄颺

羅帳(らちょう)は起こり飄颺(ひょうよう)す

[薄絹の帳(とばり)が風に揺れ翻る]

 

仰頭看明月

頭(こうべ)を仰(あ)げて明月を看

[頭を上げて明月をじっと見つめ]

 

寄情千里光

情を千里の光に寄(よ)す

[我が思いを千里先の光に傾ける]

 

 

■注目点

季節の秋に注目。

前二句は季節は秋、題材は秋風と羅帳。後二句は時刻は夜、題材は明月と光。

秋はもの思う季節。秋風はもの寂しさ、冷ややかさを連想させ、薄絹の羅帳は女を連想させる。秋風も羅帳も、妻が夫を思う題材。秋の風が妻のいる部屋の窓から吹き込んでくる。すると薄絹の帳が風に揺れ翻る。

明月は光り輝く月。明月は辺り全体照らす。妻のいる部屋も照らす。妻は照らされる。光は明月の輝き。千里彼方の光が妻のいる部屋に射し込む。妻は光をじっと見つめる。何分も何時間も。

妻は思う。夫が不意に帰って来たのでは。妻は喜び驚く。妻の目には涙。自然に溢れ出る涙。感情語は一切用いず、風景で情を詠む。景情一致の見事な手法。

 

《PN・帰鳥》