山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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秋の日

2014.10.24

返照入閭巷

憂来誰共語

古道少人行

秋風動禾黍

 

題は「秋の日」。詩人は耿湋(こうい)。七五〇年ごろの人。

 

■読みと解釈

返照入閭巷

返照(へんしょう)は閭巷(りょこう)に入る

[夕日が小さな村里に差しこんでいる]

 

憂来誰共語

憂い来たれば誰と共にか語らん

[憂いがこみ上げたら誰と語ればいいのだろう]

 

古道少人行

古道(こどう)人の行くこと少(まれ)にして

[古い道には歩く人はめったになく]

 

秋風動禾黍

秋風は禾黍(かしょ)を動かす

[秋の風が禾(あわ)や黍(きび)を動かしている]

 

 

■注目点

注目点は、季節は秋。時刻は夕方。場所は村里。村里には古い道があり、禾や黍がある。この情景。描いてみてください。

秋の夕方。西の空に沈む夕日。その夕日がひとすじ、ふたすじ。村里に差しこんでいます。夕日を受ける古い道。そこには人の姿はない。あるのは秋の風。その秋風が穀物の禾や黍にそよいでいる。辺り一面田畑。この村里は農村?

耿湋はこんな村里に身をおき、憂いに襲われたら、と心配するのです。憂いを誰と語ろうか。語る相手がいない。それがまた憂いなのです。「この道や行く人なしに秋の暮」という句がありました。

 

《PN・帰鳥》