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秋の懐い

2012.09.28

園丁傍架摘黄瓜
村女沿籬采碧花
城市尚余三伏熱
秋光先到野人家

 

一二一〇年、九千二百首の詩を残し、八十五歳で亡くなった陸游(りくゆう)の「秋の懐(おも)い」という詩。八十一歳の作。

 

■読みと解釈
園丁傍架摘黄瓜
園丁(えんてい)は架に傍(そ)うて黄瓜(こうか)を摘(つ)み
[作男は棚に寄りそってキュウリを摘み取り]

 

村女沿籬采碧花
村女は籬(り)に沿うて碧花(へきか)を采(と)る
[田舎女は垣根に寄りそってアサガオを採っている]

 

城市尚余三伏熱
城市(じょうし)は尚(な)お三伏(さんぷく)の熱を余すも
[街中にはまだまだま夏の暑さが残っているが(三伏は夏至以降、立秋過ぎの間。夏の盛り)]

 

秋光先到野人家
秋光は先ず野人(やじん)の家に到(いた)る
[秋のきざしは先ず田舎の家にやって来る]

 

 

■注目点
秋の到来は街中より田舎が先。注目はここ。
八十一歳の作者はいま田舎暮らし。男は食用のキュウリの収穫。女は観賞用のアサガオの採取。のどかな農村風景を、働く男と女で描写します。
農村に比べ街中は暑さでムンムン。暑いのは季節のせいだけではない。名誉や地位を求め、汲汲と暮らす。暑いはず。何とも気の毒。
街中に比べわが田舎には早や秋のきざし。
八十一歳の作者は田舎暮らしに溶けこみ、ひと足早い秋の到来に満足気です。

 

《PN・帰鳥》