山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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秋の思い

2014.09.12

琪樹西風枕簟秋

楚雲湘水憶同遊

高歌一曲掩明鏡

昨日少年今白頭

 

七九一年生まれの許渾(きょこん)の「秋の思い」。

 

■読みと解釈

琪樹西風枕簟秋

琪樹(きじゅ)の西風に枕簟(ちんてん)の秋

[美しい樹に吹く秋の風に枕や簟(むしろ)の冷たい秋]

 

楚雲湘水憶同遊

楚雲(そうん)湘水(しょうすい)に同遊を憶(おも)う

[楚の地の雲や湘の地の川で一緒に遊んだ人を思い出す]

 

高歌一曲掩明鏡

高歌(こうか)一曲して明鏡(めいきょう)を掩(おお)う

[高らかに一曲歌い清らかな鏡を手で隠す]

 

昨日少年今白頭

昨日は少年なりしに今は白頭

[昨日は若者だったが今は白髪頭]

 

 

■注目点

秋に何を思ったのかに注目。

秋はもの悲しい季節。

紅葉した樹に秋の風が吹く。寝具は秋の風で冷たい。家の内も外も秋到来。

雲のかかる楚の地。川のある湘の地。ここでかつて一緒に遊んだ人を思い出す。遊んだのはどんな人。

高らかに歌った一曲。どんな気分で歌ったのだろう。なぜ清らかな鏡を覆い隠したのだろう。

楚の地、湘の地で遊んだあの時は少年だったが、あれから何年経った今は白髪。

清らかな鏡は嘘をつかない。若さはいつまでも続かない。日に日に老いに向かって生きている。それが人間。秋の季節にこそ、こんなことを思うのが人間。

 

《PN・帰鳥》