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秋の夕べ

2014.09.26

紅燭秋光冷画屏

軽羅小扇撲流蛍

天階夜色涼如水

坐看牽牛織女星

 

八〇三年生まれの杜牧(とぼく)の「秋の夕べ」。

 

■読みと解釈

紅燭秋光冷画屏

紅燭(こうしょく)の秋の光は画屏(がへい)に冷ややかにして

[赤い灯火の秋の明かりは絵屏風に冷ややかに映り]

 

軽羅小扇撲流蛍

軽羅(けいら)の小扇(しょうせん)は流蛍(りゅうけい)を撲(う)つ

[なよやかな薄い絹の小さな扇はさ迷い飛ぶ蛍を追い払う]

 

天階夜色涼如水

天階(てんかい)の夜色は涼しきこと水の如(ごと)く

[天上の世界の夜の様子は涼しいこと水のようであり]

 

坐看牽牛織女星

坐(そぞ)ろに看る牽牛(けんぎゅう)織女星を

[何とはなしに牽牛星と織女星をじっと見つめている]

 

 

■注目点

「秋の夕べ」の描写に注目。

秋の夕べを詠む題材。それは赤い灯火、秋の光、絵屏風、薄い絹の小さな扇、さ迷い飛ぶ蛍、天上世界の夜、牽牛星、織女星です。

作者の杜牧は男ですが、題材を一瞥すると、女になり代わり詠んでいるようです。その女も高貴な女。そんな感じがします。

灯火も、絵屏風も、絹の扇もある部屋に住む女。高貴な女だが、孤独を感じさせる。さ迷い飛ぶ蛍を追い払う。牽牛星と織女星をじっと見つめる姿。

男の恩情が途絶えた女心。その女心を秋の夕べに託して詠む。女の切なさ。身に滲みる。

 

《PN・帰鳥》