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秋に荊門を下る

2011.12.02

霜落荊門江樹空
布帆無恙挂秋風
此行不為鱸魚鱠
自愛名山入剡中

 

七〇一年生まれの李白の「秋に荊門(けいもん)を下る」。荊門は湖北省にある山の名。

 

■読みと解釈
霜落荊門江樹空
霜は荊門に落ち江樹(こうじゅ)は空(むな)しく
[霜が荊門山に降り川の側の樹木は枯れてしまい]

 

布帆無恙挂秋風
布帆(ふはん)は恙(つつが)無く秋風に挂(か)かる
[布を張った舟は秋風を受け事無く進んで行く]

 

此行不為鱸魚鱠
此の行(たび)は鱸魚(すずき)の鱠(なます)の為(ため)ならず
[今回の旅は鱸魚の鱠を食べるためではない]

 

自愛名山入剡中
自(みずか)ら名山を愛して剡中(せんちゅう)に入る
[自分は名山が好きで剡中へ入って行くのだ(※剡中は浙江省の地)]

 

 

■注目点

題は秋に荊門山を下る。下る目的に注目。
霜が降りる秋。晩秋の荊門山です。霜で樹木は枯れ、葉も落ちている。それを眺める李白の心中は?
こんな風景の中、李白は舟にいる。舟には布を張り、風を受けて下る。まさに秋の風が吹き、風に乗り何事もなく、荊門山を下る李白。李白の心中は?
かつてある役人が、鱸魚の鱠を食べたく役人を辞め、故郷の剡中へ帰ったそうだが、自分は食べる気はない。
自分が剡中に行くのは、名山が好きだから。名山。その名は勿論荊門山。李白は荊門山の風景が好きなのです。

 

《PN・帰鳥》