山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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禹の廟

2016.11.04

禹廟空山裏

秋風落日斜

荒庭垂橘柚

古屋画龍蛇

雲気生虚壁

江声走白沙

早知乗四載

疏鑿控三巴

 

七一二年生まれの杜甫の「禹(う)の廟(びょう)」。禹は夏(か)王朝の始祖。廟は霊を祭る社。

 

■読みと解釈

禹廟空山裏

禹廟(うびょう)は空山の裏(うち)

[禹王の社は人気のない山の中にあり]

 

秋風落日斜

秋風に落日は斜(なな)めなり

[秋風に吹かれた夕日は斜めに傾いている]

 

荒庭垂橘柚

荒庭に橘柚(きつゆう)は垂れ

[荒れ果てた庭には橘や柚子の実が垂れ]

 

古屋画龍蛇

古屋には龍蛇(りょうだ)を画けり

[古い社には龍や蛇の絵が画いてある]

 

雲気生虚壁

雲気は虚壁(きょへき)に生じ

[雲気が壊れた壁から沸き起こり]

 

江声走白沙

江声(こうせい)は白沙(はくさ)に走る

[川の水音が白い砂を走り流れている]

 

早知乗四載

早(つと)に知れり 四載(しさい)に乗りて

[早くに知っていた (禹王が)四つの乗り物に乗り]

 

疏鑿控三巴

疏鑿(そさく)して三巴(さんぱ)を控(ひ)くを

[山や川を切り開き三つの峡谷に水を導いたことを]

 

 

■注目点

禹王の功績に注目。

禹王は紀元前21世紀~紀元前16世紀の、夏王朝の創始者。その禹王の社を訪ねた作者。

社の在る所は山中。人里離れ、訪問者無し。作者が訪ねたのは秋。夕日が風に吹かれ、傾いている。傾いているのは夕日だけではない。社も作者の心も。

庭は荒れて蜜柑類が、社は古くて龍や蛇が。蜜柑類は禹王が貢ぎ物として定めた物。龍や蛇は禹王が治水の時に追い払った物。この二つが時を経てなおある。

禹王は舟、車、橇(そり)、樏(かんじき)の乗り物を使い、三つの峡谷を切り開いた。これにより雲気が沸き起こり、白い砂の流れる川ができた。いわゆる洪水を治めた治水。禹王の功績。

治水により天下は安定し、中国の領土は禹王に始まった。今の中国在るは、禹王の治水。

 

《PN・帰鳥》