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神情の詩

2015.05.29

春水満四沢

夏雲多奇峯

秋月揚明輝

冬嶺秀孤松

 

顧愷之(こがいし)の「神情(しんじょう)の詩」。神情は心情。

 

■読みと解釈

春水満四沢

春の水は四沢(したく)に満ち

[春の水は四方の沼に満ち溢れ]

 

夏雲多奇峯

夏の雲は奇峯(きほう)に多し

[夏の雲は不思議な嶺に無数ある]

 

秋月揚明輝

秋の月は明輝(めいき)を揚(あ)げ

[秋の月は明るく輝いて冴えわたり]

 

冬嶺秀孤松

冬の嶺には孤松(こしょう)秀(ひい)ず

[冬の嶺には一本松が抜きん出ている]

 

■注目点

作者の心情に注目。

作者顧愷之の心情は四季にある。その四季を対句で表現する。

春と夏と秋と冬。季節の対応。

水と雲と月と嶺。自然物の対応。

満ちと多しと揚げと秀ず。動詞の対応。

四と奇と明と孤。状態の対応。四と明は広大。奇と孤は縮小。共に逆の状態。

沢と峯と輝と松。自然物の対応。沢、峯、松は具体、輝は抽象。

こう詠む四季に、顧愷之はどんな心情を重ねるのだろう。想像してみよう。

春。天下に挑もうとする、若さ溢れる心情。

夏。天下に挑もうとする、強さ溢れる心情。

秋。天下に挑み成就した、喜び溢れる心情。

冬。成就を独り抱き、静けさ溢れる心情。

四季に心情を重ねる詩。四季の特徴をとらえ、自分の特徴を重ねる。巧みな表現法です。

 

《PN・帰鳥》