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碩の中の作

2012.05.25

走馬西来欲到天
辞家見月両回円
今夜不知何処宿
平沙万里絶人煙

 

七一五年生まれの岑参(しんじん)の「碩(せき)の中の作」。碩は砂漠。

 

■読みと解釈
走馬西来欲到天
馬を走らせ西に来たり天に到(いた)らんと欲す
[馬を走らせ西へやって来て天に届かんばかり]

 

辞家見月両回円

家を辞して月の両回(りょうかい)円(まどか)なるを見る
[家を出て月が二度円くなったのが見えた]

 

今夜不知何処宿
今夜知らず何(いず)れの処(ところ)にか宿(やど)るを
[今夜わからない どこに泊まっていいのか]

 

平沙万里絶人煙
平沙(へいさ)万里人煙(じんえん)絶ゆ
[平らな砂漠には万里四方竈の煙はまったくない]

 

 

■注目点
この詩は砂漠の中での作品です。砂漠をどう描くか。ここに注目。
砂漠は西方にある。馬に乗って行く。西へ西へ行くと、天に届かんばかり。中国の地形は西が高く、東が低い。
家を出て満月を二回見た。二ヶ月たった。二ヶ月走った距離。足場が砂で走りにくいが、かなりの距離であろう。
今夜、どこに泊まろう。一望万里。三百六十度。平らな砂漠。宿一軒見えない。竈の煙は一筋も見えない。宿には泊まれない。野宿しかない。
何のために砂漠へやって来た。旅行?調査? 違います。砂漠は国境にあり、その向こうには外敵がいる。守備兵としてやって来た。明日の命は知れないのです。

 

《PN・帰鳥》