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石頭城

2011.10.21

山囲故国周遭在
潮打空城寂寞回
淮水東辺旧時月
夜深還過女牆来

 

七七二年生まれの劉禹錫(りゅううしゃく)の「石頭城(せきとうじょう)」。石頭城は江蘇(こうそ)省にある街。

 

■読みと解釈
山囲故国周遭在
山は故国を囲み周遭(しゅうそう)として在り
[山は昔の石頭城を囲み取り巻いて存在し]

 

潮打空城寂寞回
潮(しお)は空城を打ち寂寞(せきばく)として回(かえ)る
[潮は無人の石頭城を打ち寂しく引き返す]

 

淮水東辺旧時月
淮水(わいすい)の東の辺より旧時の月
[淮水の東の辺りから昔のままの月が]

 

夜深還過女牆来
夜深くして還(ま)た女牆(じょしょう)を過ぎて来たる
[夜が更けて変わらずひめ垣を越えて上って来る]

 

 

■注目点
題材の石頭城は、作者の劉禹錫が生まれる約五六〇年前の建築。昔々のその街をどう表現するかに注目。
石頭城は山に囲まれ、潮に打たれる所にあった。昔は水軍の基地で、多くの烽火台が置かれた、防衛の拠点でした。
その石頭城。五六〇年も経つと、周囲を取り巻く山、寂しく打ち寄せる潮。あるのはそれだけ。街中は無人。もはや街ではない。
だが一つ。昔と今をつなぐ景がある。夜更けとともに上る月。その月がひめ垣を越え、昔のまま上って来る。
劉禹錫はこの月をどんな思いで眺めたのでしょう。五六〇年前の、石頭城の人々、防衛の拠点等々。涙を流したのでは。

 

《PN・帰鳥》