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石邑の山中に宿泊

2015.10.02

浮雲不共此山斉

山靄蒼蒼望転迷

暁月暫飛高樹裏

秋河隔在数峯西

 

唐の韓翃(かんこう)が「石邑(せきゆう)の山中に宿泊」した時の詩。石邑は北京西南の地。

 

■読みと解釈

浮雲不共此山斉

浮く雲は此の山と斉(ひと)しからず

[空に浮かぶ雲はこの山と同じ高さではない]

 

山靄蒼蒼望転迷

山の靄(もや)は蒼蒼(そうそう)として望めば転(うた)た迷う

[山の靄に霞む青さで眺めは一層ぼんやり]

 

暁月暫飛高樹裏

暁月は暫く高樹の裏(うち)に飛び

[明け方の月はしばし高い樹木の中を飛び]

 

秋河隔在数峯西

秋河は隔たりて数峯の西に在り

[秋の銀河は峯々の西から遠ざかってゆく]

 

■注目点

山中の描写に注目。

山中は韓翃の宿泊所。韓翃は山の中に宿を取り、寝たのです。

浮かぶ雲と此の山。高さを比べる。高いのは、宿のある此の山。雲より高い所にある宿。雲は眼下にある。

宿のある此の山は、靄が立ちこめ、空の色も樹木の色も青々。靄に霞む青。経験したことのない景。下界の景ではない。仙人気分の韓翃。

眼が覚めた明け方。見ると夜明けの月が、高く高く聳える樹木の中を飛び、見え隠れしている。月が飛ぶとは見事な表現。

更に見ると、銀河が高い高い峯々の西に遠ざかり、夜が明けるのも間近。

山中の宿に寝た韓翃。山中の景に大満足。まさに仙人気分。

 

《PN・帰鳥》