山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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相思

2018.10.19

紅豆生南国

秋来発故枝

願君多采纈

此物最相思

 

六九九年頃生まれの王維(おうい)の「相思(そうし)」。本詩の相思は相思相愛ではなく、片思いの意。

 

■読みと解釈

紅豆生南国

紅豆(こうとう)は南国に生じ

[紅豆は南の国に生え]

 

秋来発故枝

秋来(しゅうらい)に故枝(こし)発(ひら)く

[秋には元の枝に花がぱっと咲きます]

 

願君多采纈

願わくは君(きみ)多く采纈(さいけつ)せよ

[あなた様たくさんお摘み取りください]

 

此物最相思

此(こ)の物最も相い思わしむ

[紅豆は最もあなた様を思い慕わせるのです]

 

 

■注目点

題「片思い」に注目。

題材は一つ、紅豆だけ。紅豆は美しい木。日本名『こいまめ』。紅豆は女。君は男。女と男が登場し、女が男に呼びかける。男の情愛を待つ女心を詠む。

紅豆は南国産。暖かい大地に生まれた女。身も心も温かい女。秋にぱっと咲く女。優美華麗、結婚適齢期の女。男に呼びかける。

「私をたくさん摘み取って! 私はあなた様を思い慕わせる最高の女なのです。一時も早く摘み取って!」と。片思いの女心を詠む。

男と女。片思いの感情。それは時代に関係なく、何時の時代にもある。感情をどう詠むか。陳腐ではなく、新鮮にどう詠むか。どう発想するか。簡単なようで、簡単ではない。この詩の主人公は紅豆。新鮮な発想と思われる。

 

《PN・帰鳥》