山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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相を罷めて作る

2018.10.26

避賢初罷相

楽聖且銜杯

為問門前客

今朝幾箇来

 

七四七年に死去した李適之(りてきし)の「相(しょう)を罷(や)めて作る」。宰相を罷めた時の作。

 

■読みと解釈

避賢初罷相

賢を避けて初めて相を罷め

[賢人を避けともかく宰相を罷め]

 

楽聖且銜杯

聖を楽しみ且(しばら)く杯を銜(ふく)まん

[聖人を楽しみいささか杯を口にしたい]

 

為問門前客

為(ため)に門前の客に問わん

[それが為に問いたい 門の前の客人は]

 

今朝幾箇来

今朝(こんちょう)幾箇(いくこ)か来たるやと

[今日は何人来ているのか]

 

 

■注目点

李適之の心境に注目。

李適之は自ら宰相を罷めたのではなく、皇帝の腹心李林甫(りりんぽ)に罷めさせられた。賢人格の李林甫に仕えることは罷め、賢人格より上の聖人格と楽しむこととする。楽しむために酒を飲む。賢人は酒で言えば濁酒。聖人は清酒。濁酒は罷めて清酒を楽しむ。李適之はそう言う。

李林甫に仕えることを罷めた李適之は、宰相を罷めた李適之は、門前に来た客人の数を気にする。世間の反応を気にする。

客人は李適之が宰相ならば門前に来るが、罷めたならば来ない。客人たちの浅はかさ、軽々しさ、情けなさを非難揶揄する。李適之の心境はここにあるのではないか。

 

《PN・帰鳥》