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白楽天が江州の司馬に左遷されたのを聞く

2014.06.06

残灯無焔影幢幢

此夕聞君謫九江

垂死病中驚坐起

暗風吹雨入寒窗

 

七七九年生まれの元稹(げんじん)の「白楽天が江州の司馬に左遷されたのを聞く」。江州は今の九江市。司馬は地方官。

 

■読みと解釈

残灯無焔影幢幢

残灯は焔(ほのお)無く影は幢幢(とうとう)たり

[燃え尽きそうな灯火は焔は無く光はゆらゆら揺れている]

 

此夕聞君謫九江

此の夕べ君が九江に謫(たく)せられしを聞く

[こんな夕べに貴君が江州に左遷されたことを耳にした]

 

垂死病中驚坐起

垂死(すいし)の病中にて驚き坐起(ざき)すれば

[死にそうな病床にあってびっくり仰天起き上がり正座すると]

 

暗風吹雨入寒窗

暗風は雨を吹き寒窗(かんそう)に入る

[暗闇を吹く風が雨と交じり寒々とした窓から入って来る]

 

 

■注目点

親友が左遷されたのを聞いた作者の心境に注目。

親友が左遷された江州は、長江中流域にあり、首都長安から南方に当たる辺鄙な地。

作者は病床の身。時は灯火の焔が消えそうな暗闇。外は雨まじりの風。その風が窓から病床に吹きこむ。びっくり仰天。ベッドから起き上がり正座。

病床の外の様子、病床の内の様子に、作者の心境を託す表現。残灯、焔無し、影は幢幢たり、暗風、雨を吹く、寒窗に入る。作者の心境は五倍にも十倍にもなる。景と情の一致。見事な表現手法です。

 

《PN・帰鳥》