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白い菊 雑書

2012.07.13

四面雲屏一帯天
是非断得自翛然
此生只是償詩債
白菊開時最不眠

 

八三七年生まれの司空図(しくうと)の「白い菊 雑書」。雑書はなぐり書き。

 

■読みと解釈
四面雲屏一帯天
四面の雲屏(うんべい)一帯の天
[周囲は雲母の屏風それに一続きの空]

 

是非断得自翛然
是非を断(だん)じ得て自(おのずか)ら翛然(ゆうぜん)たり
[是か非か判断し得て自由な境地になった]

 

此生只是償詩債
此(こ)の生は只(た)だ是(こ)れ詩債(しさい)を償(つぐな)うのみ
[わが人生は前世の詩の借りを返すことにあるだけ]

 

白菊開時最不眠
白き菊の開く時最も眠れず
[白い菊が咲く時は何時もより眠れない]

 

 

■注目点
題材は白い菊。雑書のせいか、詩はやや奇抜。奇抜さに注目。
一句目の雲母の屏風は、きらきら光る白い菊をこう譬え、その屏風が天まで広がっている。奇抜です。
二句目の是非は人生における善し悪し。それを前句の状況下で判断することができ、束縛も制約もない境地に至り得た。奇抜です。
三句目のわが人生の償い。それは前世で作るべき詩を作らなかった。その借りを返すこと。何とも奇抜です。
四句目は白い菊が咲いている今。今こそ詩を作り借りを返す時。眠ることができない。これまた奇抜です。
題材の白い菊。色の白は清らかさ、菊はいい香り。白と言い菊と言い、俗念を払ってくれるのでは。

 

《PN・帰鳥》