山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

田園の楽しみ

2013.03.01

桃紅復含宿雨
柳緑更帯春煙
花落家僮未掃
鴬啼山客猶眠

 

六九九年ごろ生まれの王維(おうい)の「田園の楽しみ」。田園は郊外。

 

■読みと解釈
桃紅復含宿雨
桃は紅(くれない)にして復(ま)た宿雨(しゅくう)を含み
[桃は赤く咲きそして昨夜来の雨を含み]

 

柳緑更帯春煙
柳は緑にして更(さら)に春煙を帯ぶ
[柳は緑に芽吹き更に春の霞を帯びている]

 

花落家僮未掃
花は落つるも家僮(かどう)は未だ掃(はら)わず
[花びらが落ちているが召し使いはまだ掃除をせず]

 

鴬啼山客猶眠
鴬は啼(な)くも山客(さんかく)は猶(な)お眠れり
[鴬は啼いているが山住まいの人間はまだ眠っている]

 

 

■注目点
田園の何を楽しんでいるのかに注目。
4句とも田園の風景。
初めの2句は、桃と柳、紅と緑、宿雨と春煙を対比し、昨夜来の雨を含んだ紅色の桃、春の霞を帯びた緑色の柳。明るい田園の風景だが、人里を離れた感じの風景。その風景を楽しんでいるようです。
終わりの2句は、花と鴬、家僮と山客、未掃と猶眠を対比し、落ちた花びらを掃除しない召し使い、鴬が啼いてもまだ眠っている山住まいの人間。誰にも邪魔されない田園の風景で、人里を離れた風景。その風景を楽しんでいるようです。
田園の楽しみ。それは春の季節にどっぷりつかった、隠者の楽しみのようでもある。

 

《PN・帰鳥》