山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

瑶瑟の怨み

2017.07.07

氷簟銀牀夢不成

碧天如水夜雲軽

雁声遠過瀟湘去

十二楼中月自明

 

八一二年生まれの温庭筠(おんていいん)の「瑶瑟(ようしつ)の怨み」。瑶瑟は琴。

 

■読みと解釈

氷簟銀牀夢不成

氷簟(ひょうてん)にして銀牀(ぎんしょう)なるも夢は成らず

[氷のような敷物の銀のような寝台に寝ながら夢は途中で覚めた]

 

碧天如水夜雲軽

碧天(へきてん)は水の如(ごと)くにして夜の雲は軽し

[青く清らかな空はまるで水のようで夜中の雲はふわふわしている]

 

雁声遠過瀟湘去

雁の声は遠く瀟湘(しょうしょう)を過ぎて去り

[雁の鳴き声は遠く瀟水湘水辺りを通過して飛んで行き]

 

十二楼中月自明

十二楼(じゅうにろう)中の月は自(おのずか)ら明らかなり

[十二の楼閣がある内側は月が自然に明々と照り輝いている]

 

 

■注目点

怨みの実態に注目。

詩題は琴を弾く怨み。弾くのは女。女の怨みとは。どんな怨み。

立派な寝具に寝るのは高貴な女。女は完成した夢を見ることができない。

瀟水と湘水の川には、夫の後を追い入水自殺した二人の女が浮かぶ。

夢を見ることができない女も、入水した女も、怨みを抱えている。その怨みを琴の音に乗せ弾く。

十二楼は女仙人西王母の居所。そこは明々と照り輝いている。西王母は怨みを抱えていない。西王母のようでありたいと願う。

琴を弾く女の怨み。怨みの実態は何。題材に一貫性がなく、ひと言で言い難い。

 

《PN・帰鳥》