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琅邪王の歌

2016.03.04

東山看西水
水流盤石間
公死姥更嫁
孤児甚可憐

 

四〇〇年頃の作者不詳の「琅邪(ろうや)王の歌」。琅邪は山東半島の郡の名。

 

■読みと解釈
東山看西水
東の山より西の水を看れば
[東の山から西の水を見ると]

 

水流盤石間
水は盤石(ばんせき)の間に流れり
[水は大きな巌を流れている]

 

公死姥更嫁
公は死して姥(ぼ)は更めて嫁ぎ
[公は死に姥は改めて嫁ぎ]

 

孤児甚可憐
孤児は甚(はなは)だ憐(あわれ)むべし
[みなし児はひどく気の毒でならぬ]

 

■注目点
妻の行動に注目。
詩題の琅邪王は父に死を命ぜられた王。3句目の公が琅邪王ならば、姥はその妻のこと。夫が死んだので、妻は再婚した。子を捨てて。
東の山から西の水をじっと見る。山は高く水は低い。高い山から低い水をよくよく見ると、水は盤石の場所を流れている。盤石とは大きくどっしりした巌。
この景を夫と妻とに重ねると、山にいるのは生きている妻。西の水は死んだ夫。夫は死んでなお、大きな巌を堂々と流れている。だが山にいる妻は堂々としていない。夫への思いも子も捨て再婚。盤石な夫と盤石でない妻。死んだ夫はまだしも、捨てられた子はみなし児。気の毒でならぬ。母として許せぬ行動。姥なる母ゆえ、かなり年配のようにも。
かくなる母。今の世には…

《PN・帰鳥》