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独り敬亭山に坐す

2011.08.05

衆鳥高飛尽
孤雲独去閑
相看両不厭
只有敬亭山

 

七六二年生まれの李白(りはく)の「独り敬亭山(けいていざん)に坐す」。敬亭山は南京の南方にある山。

 

■読みと解釈
衆鳥高飛尽
衆鳥は高く飛んで尽(つ)き
[多くいた鳥は空高く飛んでいなくなり]

 

孤雲独去閑
孤雲は独り去って閑(しず)かなり
[ちぎれ雲は流れ去って静かになった]

 

相看両不厭
相(あ)い看て両(ふた)つながら厭(いと)わざるは
[互いに見つめ互いに飽きないのは]

 

只有敬亭山
只(た)だ敬亭山有るのみ
[敬亭山があるだけだ]

 

 

■注目点
作者の心境に注目。
作者は今、敬亭山に座り、そこで見た風景を詠んでいます。
多くの鳥、ちぎれ雲は、さっきまで視界にあった。だが今はない。鳥も雲もどこかへ行ってしまった。空には何もない。辺りはひっそりと静まり返っている。
この風景は作者の心境を投影しているのではないでしょうか。
鳥も雲も見えなくなった作者が、次に見たもの。それは敬亭山。作者は敬亭山を見つめ、敬亭山も作者を見つめる。互いに見つめ合う。長く長く見つめ合っても、互いに飽きない。ここにも作者の心境が投影されているのではないでしょうか。
動く鳥と雲は視界から消え、動かざる敬亭山は視界にある。その敬亭山と作者は一体。敬亭山を崇拝している。そんな心境でしょうか。

 

《PN・帰鳥》