山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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烏江亭に題す

2013.08.30

勝敗兵家事不期

包羞忍恥是男児

江東子弟多才俊

捲土重来未可知

 

八〇三年生まれの杜牧(とぼく)の「烏江亭(うこうてい)に題す」。烏江亭は渡し場の名。題は書きつける。

 

■読みと解釈

勝敗兵家事不期

勝敗は兵家すら事は期せず

[勝ち負けは兵法家でさえ成り行きは決められない]

 

包羞忍恥是男児

羞(はじ)を包み恥を忍ぶは是(こ)れ男児

[羞を包み隠し恥を堪え忍ぶのが男児たる者]

 

江東子弟多才俊

江東(こうとう)の子弟には才俊多ければ

[江東の若者には人材が数多く山ほどおり]

 

捲土重来未可知

捲土重来(けんどちょうらい)せば未(いま)だ知るべからず

[巻き返しをすれば展開はどうなったか分からない]

 

 

■注目点

句ごと言いたい事は何か。ここに注目。

1句目は勝敗は兵法家でも分からぬのに、分かったとする者がいる。それは誰か。

2句目は恥を忍ぶのが男児だが、恥を忍ばぬ男児がいる。それは誰か。

3句目は江東には人材が多いのに、人材を見殺しにした者がいる。それは誰か。

4句目は捲土重来すれば、勝敗の展開は分からぬのに、捲土重来しなかった者がいる。それは誰か。

項羽(こうう)です。劉邦(りゅうほう)に烏江亭まで追われた項羽はひと言「天がわしを滅ぼした」と。杜牧は千年前の項羽の言動を詩にしたのです。

 

《PN・帰鳥》