山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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烏が夜に啼(な)く

2017.12.15

歌舞諸年少

娉婷無種迹

菖蒲花可憐

聞名不曾識

 

作者不明の「烏が夜に啼(な)く」。製作は唐以前。

 

■読みと解釈

歌舞諸年少

歌舞(かぶ)する諸々の年少

[歌や舞をする少年たち]

 

娉婷無種迹

娉婷(へいてい)に種迹(しゅせき)無し

[その美しさは痕跡がない]

 

菖蒲花可憐

菖蒲(しょうぶ)の花は憐(あわ)れむべく

[菖蒲の花は愛らしく]

 

聞名不曾識

名を聞きしも曾(かつ)て識(し)らず

[名は聞いていたが全く識らぬ]

 

 

■注目点

前二句と後二句はどう繋がるのだろう。

前二句は歌や舞をする少年たちを詠み、後二句は菖蒲の花を詠む。少年たちと菖蒲の花。この二つはバラバラなのか。繋がるのか。繋がる。そう想像するのが尋常だろう。

どう繋がるのか。繋がる接点は美しさ。少年たちは娉婷。菖蒲の花は憐れむべし。娉婷と憐れむべし。ここで繋がる。もっと言えば、菖蒲の花の美しさは、歌や舞をする少年たちの象徴。少年たちの美しさを言うために、菖蒲の花の美しさを詠む。

菖蒲の花の美しさ。それは耳にしたことはあるが、全く存じ得なかった。同様に歌や舞をする少年たちも、耳にしたことはあるが、全く存じ得なかった。今初めて知った。

ただ詩題の「烏が夜に啼く」ことは詩には現れない。なぜなのだろう。

 

《PN・帰鳥》