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漢苑の行

2019.08.23

囘雁高飛太液池

新花低発上林枝

年光到処皆堪賞

春色人間総未知

 

唐の張仲素(ちょうちゅうそ)の「漢苑(かんえん)の行(うた)」。張仲素の生没年等は不明。漢苑は漢の御苑。

 

■読みと解釈

囘雁高飛太液池

囘雁(かいがん)は高く太液(たいえき)の池を飛び

[北へ帰る雁は太液の池を高く飛んで行き]

 

新花低発上林枝

新花(しんか)は低く上林(じょうりん)の枝に発(ひら)く

[咲きたての花は上林の苑(にわ)の低い枝にも咲いている]

 

年光到処皆堪賞

年光(ねんこう)は到る処(ところ)皆な賞するに堪(た)ゆるも

[春の光はどこもかしこも称賛に値するが]

 

春色人間総未知

春色は人間(じんかん)には総(す)べて未だ知らず

[春の景色は世俗では全く知ることができない]

 

 

■注目点

言いたいことに注目。

題の漢の苑は具体的には太液の池と上林の苑。二つは漢の武帝(在位前一四一~前八七)の所有。武帝は池も苑も世俗に開放せず、独り占めした。

武帝以前、周の文王は所有していた苑を世俗に開放し、庶民と共に楽しんだのだが、武帝は開放しなかった。

この詩で言いたいことは、開放しなかった武帝を風刺したとする説がある一方、世俗では見ることのできぬ池や苑の春の美しさを称賛したとする説がある。

漢に借りて唐を詠んだとすると、この詩は唐を風刺したとも、称賛したとも見ることができる。言いたいことはややこしい。

 

《PN・帰鳥》