山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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湘江を渡る

2014.08.01

遅日園林悲音遊

今春花鳥作辺愁

独憐京国人南竄

不似湘江水北流

 

六四八?年生まれの杜審言(としんげん)の「湘江(しょうこう)を渡る」。湘江は中国南方を流れる川。

 

■読みと解釈

遅日園林悲音遊

遅日(ちじつ)の園林 昔遊(せきゆう)を悲しみ

[春の日の庭や林での昔の遊びが恋しく]

 

今春花鳥作辺愁

今春の花鳥は辺愁(へんしゅう)を作(な)す

[今年の春の花や鳥は辺地の人の愁いとなる]

 

独憐京国人南竄

独り憐(あわれ)れむ 京国(けいこく)の人の南竄(なんざん)せらるるは

[独り残念に思う 都の人が南方へ追放されるのは]

 

不似湘江水北流

湘江の水の北流(ほくりゅう)するに似ざるを

[湘江の水が北方へ流れているのと違うこと]

 

 

■注目点

題の「湘江を渡る」の湘江の役割に注目。

春の花は見て楽しく、春の鳥は聞いて楽しい。それは昔、庭で見た花、林で聞いた鳥。なのに、今の花や鳥は楽しくはなく、もの寂しく思う。

同じ花を見ても、同じ鳥を聞いても、昔と今は感じ方が違う。それはなぜ。

都の人が南方へ追放された。辺地の人となった。これがなぜの種明かし。都の人とは作者自身。南方は都から遠く離れた辺地。そこには湘江が流れている。

湘江の流れを見ていると、南方から北方へ流れている。北方は都のある方角。流れに乗って都へ帰りたい。

湘江の流れは作者自身の流れ。役割は大。

 

《PN・帰鳥》