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涼州の歌

2019.03.29

朔風吹葉雁門秋

万里烟塵昏戍楼

征馬長思青海上

胡笳夜聴隴山頭

 

 生没年不明だが、唐の張子容(ちょうしよう)の「涼州(りょうしゅう)の歌」。涼州は西方の甘粛(かんしゅく)省の地。

 

読みと解釈

朔風吹葉雁門秋

 朔風(さくふう)は葉を雁門(がんもん)の秋に吹き

[北風が雁門山の秋の葉を吹き飛ばし]

 

万里烟塵昏戍楼

 万里は烟塵(えんじん)にして戍楼(じゅろう)は昏(くら)し

[万里四方戦塵で高殿は真っ暗]

 

征馬長思青海上

 征馬(せいば)は長く青海(せいかい)の上(ほとり)を思い

[兵士は何時までも青海付近で思い続け]

 

胡笳夜聴隴山頭

 胡笳(こか)をば夜に隴山(ろうざん)の頭(ほとり)に聴く

[隴山付近で夜ごと外敵の笛を聴いている]

 

 

注目点

 苦悩する兵士に注目。

 この歌の場所は涼州。涼州は中国西方の地。青海も隴山も西方だが、雁門山は西北。雁門山ならば外敵は匈奴(きょうど)。涼州、青海、隴山ならば外敵は吐蕃(とばん)。外敵は違うが、外敵との戦いを詠むのが、この歌なのだろう。

 この歌の季節は秋。北風が秋の葉を吹き飛ばす。それは外敵が漢民族を吹き飛ばす。これを言わんがための設定。ために外敵を見張る高殿も、戦塵で真っ暗になり、吹き飛ばされる。その様は雁門山だけではない。青海も隴山も同じ。兵士は外敵の吹く笛の音色にも悩まされる。

 戦う兵士の苦悩。何時の戦争も同じ。戦争はしてはならぬ。

 

《PN・帰鳥》