山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

汾河のほとりで秋に驚く

2010.12.03

北風吹白雲
万里渡河汾
心緒逢揺落
秋声不可聞

 

作者は六七〇年生まれの蘇てい(そてい)。詩の題は「汾河(ふんが)のほとりで秋に驚く」。汾河は北から南へ流れ、黄河に注ぐ河。

 

■読みと解釈
北風吹白雲
北風は白雲を吹く
[北からの風が白い雲を吹き飛ばしている]

 

万里渡河汾
万里河汾(かふん)を渡る
[(私は)長い長い道程のいま汾河を渡る]

 

心緒逢揺落
心緒(しんしょ)は揺落(ようらく)に逢い
[わが心の糸は草木の葉が揺れ落ちるのに出会い]

 

秋声不可聞
秋声は聞くべからず
[秋の声は(寂しくて)聞くことができない]

 

 

■注目点
「驚く」の意味に注目。「びっくりする」ではなく、「乱れ騒ぐ」意味。秋声にも注目。
秋の声は聞くことができない、と言います。なぜでしょうか。秋の声とは、何を言うのでしょうか。
作者はいま、汾河のほとりにいる。汾河は北方の河。だから北風です。白雲。白は秋。だから秋の雲です。北風も白雲も寂しい風景。
なぜいま汾河にいるのか。旅の途中のようです。旅。しかも長い長い旅。寂しい道程。
辺りを見ると、草木の葉が揺れ落ちています。寂しい情景。
北風。白雲。長い長い旅路。草木の落葉。これらが秋の声。この秋の声に心の糸が出会い、驚いたのです。糸は乱れやすいもの。心の糸。含蓄のある語です。

 

《PN・帰鳥》