山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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汪倫に贈る

2014.05.23

李白乗舟将欲行

忽聞岸上踏歌声

桃花潭水深千尺

不及汪倫送我情

 

七〇一年生まれの李白(りはく)の「汪倫(おうりん)に贈る」。

 

■読みと解釈

李白乗舟将欲行

李白は舟に乗りて将(まさ)に行かんと欲(す)るに

[李白は舟に乗って行こうとすると]

 

忽聞岸上踏歌声

忽(たちま)ち聞く岸の上の踏歌(とうか)の声を

[突然に岸辺で足踏みしつつ歌う声が聞こえてくる]

 

桃花潭水深千尺

桃花潭(とうかたん)の水は深さ千尺なるも

[桃花潭の水の深さは千尺あるが(それは)]

 

不及汪倫送我情

汪倫の我を送る情に及ばず

[汪倫が私を見送ってくれる真心には及ばない]

 

 

■注目点

この詩の技巧に注目。

詩題の贈ると、四句目の送るに注目すると、送るのは汪倫が李白を送る、贈るのは李白が汪倫に贈る。李白を送る汪倫の真心が深いので、それに感謝感激して、李白がこの詩を作り汪倫に贈ったのです。

李白は感謝感激の詩を作るに当たり、三つの技巧を使っています。

一つは、李白と汪倫の名を使い、親近感、人物像を明白にしている。

一つは、踏歌と桃花潭を使い、華やかで、のどかな光景を想像させる。

一つは、異質な物を使い、桃花潭の水深と汪倫の真心を比較している。

李白と汪倫の関係は不明だが、互いを思い合う強い情が想像される詩です。

 

《PN・帰鳥》