山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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江上

2011.11.11

呉頭楚尾路如何
烟雨秋深暗白波
晩趁寒潮渡江去
満林黄葉雁声多

 

一六三四年生まれの王士禎(おうしてい)の「江上(こうじょう)」。江上は揚子江付近。

 

■読みと解釈
呉頭楚尾路如何
呉頭(ごとう)楚尾(そび)の路(みち)は如何(いかん)
[呉・楚一帯の路はどんな様子か]

 

烟雨秋深暗白波
烟雨(えんう)の秋は深く白き波は暗し
[霧雨の降る秋は深まり白い波は見えない]

 

晩趁寒潮渡江去
晩(くれ)に寒き潮を趁(お)いて江を渡りて去れば
[日暮れに冷たい潮を追って揚子江を渡って行くと]

 

満林黄葉雁声多
満林は黄葉(こうよう)にして雁の声多し
[林全体は黄葉し雁がたくさん鳴いている]

 

 

■注目点
場所は呉と楚なので、揚子江下流域の風景です。その描写に注目。
秋深くなので、下流域の晩秋の風景です。
揚子江には霧雨が降っている。ために白い波の立つ揚子江の水面は、はっきり見えない。ぼんやりした、晩秋の景です。
晩秋なので揚子江の潮は冷たい。霧雨が降り、白い波の立つ揚子江を舟に乗り、冷たい潮を追っかけ、向こう岸に漕いで行く。冷え冷えした晩秋の景です。
揚子江の両岸には林。林の樹木はすべて黄葉。空には雁が群れをなし、鳴きながら飛んでいる。もの寂しい晩秋の景です。
烟、雨、秋、波、潮、林、葉、雁。深、白、晩、暗、寒、黄。すべて揚子江の晩秋の景を盛り上げています。

 

《PN・帰鳥》