山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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楽遊原

2012.11.23

向晩意不適
駆車登古原
夕陽無限好
只是近黄昏

 

八五八年没の李商隠(りしょういん)の「楽遊原(らくゆうげん)」。高台の名。

 

■読みと解釈
向晩意不適
晩(くれ)に向(なんな)んとするに意は適(かな)わず
[日暮れになるころわが心は楽しくなく]

 

駆車登古原
車を駆(か)りて古原(こげん)に登る
[車を飛ばして昔からの楽遊原に登ります]

 

夕陽無限好
夕陽(せきよう)は限り無く好(よ)きも
[夕日は限りなくわが心にしっくりくるが]

 

只是近黄昏
只(た)だ是(こ)れ黄昏(こうこん)に近し
[(その夕日は)もっぱらたそがれに近づくのです]

 

 

■注目点
時間の設定に注目。晩と夕と黄昏の三つの時間を巧みに使い、初めの二句は晩になりかかる時間、最後の句は黄昏に近い時間、その前の句は晩と黄昏の間の時間。
三つの時間で注目すべきは、晩と黄昏の間の、限り無く好い夕陽です。これは初めの句の意適わず、次の句の車を駆る、最後の句の黄昏に近し、という李商隠の心情を浮き彫りにします。夕陽は寂しさとともに美しさも感じさせます。一筋の光明を見たのでは。
李商隠は何のために「楽遊原」に登ったのか。三つの時間の設定、李商隠の心情から察すると、心中の奥底に潜む鬱屈した思いを晴らすために「楽しく遊ぶ原」に登ったのかもしれません。

 

《PN・帰鳥》