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楓橋にて夜泊まる

2011.11.25

月落烏啼霜満天
江楓漁火対愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘声到客船

 

七八〇年ごろ生存していた張継(ちょうけい)の「楓橋(ふうきょう)にて夜泊まる」。楓橋は橋の名。

 

■読みと解釈
月落烏啼霜満天
月落ち烏啼(な)いて霜は天に満ち
[月が沈み烏が鳴き叫び霜が天に満ち満ち]

 

江楓漁火対愁眠
江楓(こうふう)漁火(ぎょか)愁眠(しゅうみん)に対す
[川の岸辺の楓や漁火がうつらうつらの眠りに向き合っている]

 

姑蘇城外寒山寺
姑蘇(こそ)城外の寒山寺
[姑蘇城の郊外には寒山寺があり]

 

夜半鐘声到客船
夜半の鐘声(しょうせい)は客船に到る
[夜中に鐘の音が旅先の船に聞こえてくる]

 

 

■注目点
有名な詩。なのに異説が多い。そこに注目。
一句目の異説。烏啼は山の名。月が烏啼山に落ちる、とする説。
二句目の異説。江楓は街の名。江は江村橋、楓は楓橋。共に橋の名。愁眠は山の名。
三句目の異説。寒山寺の名は僧侶の寒山が住んでいたとする説。
四句目の異説。夜半に鐘は打たぬとする説。
全体の景の異説。四句とも明け方の景。四句とも夜半の景。一句目は明け方、以下は夜半。三句は明け方、最後は夜半。
これほどに異説の多いこの詩。なのになぜ有名なのでしょう。
冷え冷えする、紅葉の楓、いさり火、烏の啼き声、寺の鐘の音、月が沈み愁いを抱いて、旅先の船の中で一夜を過ごす。ここにひかれるのでしょうか。

 

《PN・帰鳥》